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非正規社員 パート・有期契約社員〈京都弁護士会弁護士による労働問題の法律相談〉

 

非正規社員であるパート社員・有期契約社員の問題を 弁護士法人オールワン法律会計事務所(京都弁護士会)の弁護士(京都弁護士会)が解説します。

 

1 パート社員

 

1) パート社員とは

 

パート社員とは、いわゆるパートタイム労働法※1によると、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」のことをいいます。

 

通常の労働者とは、いわゆる正社員のことです。正社員がいない場合には、主軸となって働くフルタイム労働者のことを指します。

 

この定義にあてはまっている労働者については、社内での呼び方が「パート社員」「アルバイト社員」「契約社員」「嘱託社員」等であっても、パートタイム労働法の適用を受けることになります。

 

※1 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律

 

2) パート社員をめぐる留意点

 

① 労働条件に関する文書の交付について

 

パート社員を雇用する企業は、パート社員を雇入れた際に、以下の事項に関する内容を記載した書面を、パート社員に交付しなければならないものとされています。

 

パート社員が希望する場合には、FAXやメールを送る方法でも構いません。

 

1.労働契約の期間

2.就業の場所・従事すべき業務

3.始業・就業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇

4.賃金の決定・計算・支払・時期

5.退職・解雇

6.昇給、退職手当及び賞与の有無

 

② 賃金について

 

多くの企業では、パート社員の賃金は、正社員の賃金と比較して、低廉に設定されています。

 

もちろん、正社員とパート社員の仕事の内容が全く異なる場合には、そのような賃金体系でも問題はありません。

 

問題となるのは、パート社員と正社員の仕事の内容がほぼ同等である場合です。

 

同じ仕事をしている場合には、同じ賃金が支払われるべきではないか(このような考え方を同一価値労働同一賃金原則と言います)という疑問が生じるからです。

 

このような考え方について争われたケースにおいて、裁判所は、同一価値労働同一賃金原則の社会的基盤はない(大阪地判H14.5.22労判83022頁 日本郵便逓送事件)との判断を下しています。

 

他方、正社員と同じ製造ラインの仕事をしており、労働時間もほとんど同じであるという事案において、パート社員と正社員に大きな賃金格差が生じていることについて、均等待遇の理念に反し、公序良俗違反として違法であるとの判断も示しています(長野地上田支判H8.3.15労判69032頁 丸子警報機事件)。

 

③ 通常の労働者への転換

 

パートタイム労働法上、使用者には、パート社員から通常の労働者へ転換するための機会を与える義務があります。具体的には次の措置を講ずる必要があります。

 

通常の労働者の募集を行う場合において、当該募集に係る事業所に掲示すること等により、その者が従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の当該募集に係る事項を当該事業所において雇用する短時間労働者に周知すること。

 

通常の労働者の配置を新たに行う場合において、当該配置の希望を申し出る機会を当該配置に係る事業所において雇用する短時間労働者に対して与えること。

 

一定の資格を有する短時間労働者を対象とした通常の労働者への転換のための試験制度を設けること。その他の通常の労働者への転換を推進するための措置を講ずること。

 

➃ 解雇・雇止め

 

契約期間の定めのある契約によって雇用されたパート社員は、契約期間の満了によって契約が終了します。

 

この終了には特段の理由は必要ありません。

 

しかし、契約が何度も更新された場合などでは、パート社員は、契約期間の定めがあったとしても、継続して雇用されるとの期待を持ちます。

 

このような継続雇用の期待を持つことが、社会一般の感覚に照らして、当然であるといえる状況において、そのパート社員との契約の更新を企業が拒否(雇止め)した場合には、社会通念上相当として是認できる合理的な理由が必要となります。

 

このような合理的な理由がない場合、雇止めは無効とされています。 また、1年を超えて引き続き使用してきた場合には、企業は、契約を期間満了により終了させる場合、少なくとも30日前に予告するよう努めるべきであるとされています。

 

 有期契約社員

 

1) 有期契約社員とは

 

期間の定めのある労働契約(有期労働契約)によって使用される労働者のことをいいます。

 

有期契約社員は、通常、期間の定めがなく、会社の昇進・昇給体系に従って賃金や地位が変動する、いわゆる正社員とは明確に区別され、別異の取扱いを受けます。

 

2) 有期労働契約の特徴

 

有期労働契約を締結している場合、契約期間が満了すれば、契約は終了します。

 

また、有期労働契約は、契約者双方とも、期間中の解約は、「やむをえない事由」がある場合のみ許されるものとされています。

 

期間の定めのない労働契約(正社員)の場合には、労働者は、2週間の予告期間をおけば、いつでも契約を解約できることに比べると、この点に大きな特徴があります。企業にとっては、一定期間必要な労働力を確保することができるのです。

 

3) 契約期間の上限

 

有期労働契約における契約期間は、原則として3年が上限とされています。

 

3年を超える長さの契約期間が定められたとしても、労働基準法14条により、3年に改められることになり、3年を超える部分については、無効となります。

 

例外的に、厚生労働大臣が定める基準に該当する専門知識等(博士の学位を有する者や一級建築士・薬剤師など)を有する労働者がその専門知識等を必要とする業務に就く場合と、満60歳以上の労働者については、契約期間の上限は5年です。

 

契約期間の下限について、明確に具体的な定めはありませんが、必要以上に短い期間を定めてはならないものとされています。

 

4) 無期労働契約への転換

 

原則として、有期契約社員の契約期間は、契約で定めた期間です。

 

しかし、労働契約法上、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できる旨の定めが設けられています。

 

具体的には、たとえば、次の場合、労働者が無期労働契約への転換を申し込んだ場合、使用者の実際の意思表示にかかわらず、使用者は当該申込みを承諾したものとみなされることになります。

 

ただし、有期労働契約とその次の有期労働契約の間に、契約がない期間が6か月以上あるときは、その空白期間より前の有期労働契約は通算契約期間に含めません(クーリング)。

 

5) 期間満了による雇止めについて

 

原則として、有期労働契約の契約期間が満了すれば、労働契約は当然に終了します。

 

有期労働契約を更新することは、新しい契約の締結であるため、企業も、労働者も、自由に行うことができるはずです。

 

しかし、労働契約法は、労働者保護の観点から、次の①及びの場合には、契約期間が満了する日までの間に労働者が契約の更新の申込みをした場合や、当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合に、使用者が当該申込みを拒絶することを制限しています。

 

有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること

 

労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

 

上記①及びの労働者からの申込みに対して、使用者が申込みを拒絶した場合であっても、当該拒絶が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなすとされています。

 

6) 整理解雇の場合

 

整理解雇を行う場合、判例上も、正社員に先立って、有期契約労働者の削減を図ることは、社会的に合理性があるものとされています。

 

しかし、有期契約労働者が正社員に比べて遜色のない業務に従事し、企業における中心的な労働力となっていると判断された場合には、整理解雇の要件は厳しく判断されることになります。

 

【ご留意ください】

 

上記解説はパート社員。有期契約社員の労働問題の基本事項を述べたものです。具体的な労働問題については弁護士等の専門家にご相談下さい。

 

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