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相続税対策としての生前贈与〈京都弁護士会弁護士・税理士による相続税の法律相談〉

 

相続税対策としての生前贈与の効果を弁護士法人オールワン法律会計事務所(京都弁護士会)の弁護士(京都弁護士会)税理士(近畿税理士会下京支部)が解説します。

 

1 生前贈与の有無による納税額の比較

 

相続税対策としての生前贈与は、相続財産の「量」を減らすことで相続税の負担を軽減するものです。

 

相続税は超過累進課税制度を採用しているため、生前贈与により相続発生時の課税財産を小さくすることができれば相続税の実質的な負担を軽減できます。

 

そこで、次のような事例で相続税対策としての生前贈与の効果を確認したいと思います。

 

【被相続人】母 【相続人】子3人 【相続財産】16,800万円

 

1) 生前贈与を行わない場合

 

子3人の納税額は合計1,800万円です。

 

[課税対象財産]

 

16,800万円

(3,000万円+600万円×3人)[基礎控除]

12,000万円

 

[相続人1人あたりの課税価格]

 

12,000万円

×

1/3

4,000万円

 

[相続人1人あたりの納税額]

 

4,000万円

×

20%[課税価格3,000万円超5,000万円以下の税率]

200万円[課税価格3,000万円超5,000万円以下の控除額]

600万円

 

[納税額合計]

 

600万円

×

3人

1,800万円[相続税納税額]

 

2)生前贈与を行った場合

 

【生前贈与】母から子3人に、年210万円を10年間贈与

 

(生前贈与後3年以上経過して相続発生、定期贈与の問題を考慮せず)

 

贈与税:300万円 相続税:705万円 納税額合計:1,005万円

 

贈与税

 

(210万円-110万円[基礎控除])

×

10%[基礎控除後200万円以下の贈与税率]

×

3人[受贈者の人数]

×

10年[贈与した年数]

300万円[贈与税の納税額合計]

 

相続税

 

[相続財産]

 

16,800万円

6,300万円[生前贈与で既に子に移転した財産]

10,500万円

 

[課税対象財産]

 

10,500万円

(3,000万円+600万円×3人)[基礎控除]

5,700万円

 

[相続人1人あたりの課税価格]

 

5,700万円

×

1/3人

1,900万円

 

[相続人1人あたりの納税額]

 

1,900万円

×

15%[課税価格1,000万円超3,000万円以下の税率]

50万円[課税価格1,000万円超3,000万円以下の控除額]

235万円

 

[相続税額計]

 

235万円

×

3人

705万円

 

贈与税+相続税合計

 

300万円[贈与税額]

705万円[相続税額]

1,005万円 [納税額合計]

 

2 生前贈与の仕組み

 

1) 生前贈与を行わない場合

 

相続財産16,800万円中、1,800万円の相続税を負担しているので、相続税の実質的な税率(課税対象財産に占める税金の割合。以下、「実質税率」といいます)は約11%※です。

 

※1,800万円÷16,800万円×100

 

生前贈与を行わない場合は、移転する資産中約11%が相続税という移転コストに費消されています。

 

2)生前贈与を行った場合

 

10年間の生前贈与で母から子3人に移転した6,300万円中、贈与税合計は300万円です。

 

子が負担する贈与税の実質税率は約4.8%※1です。

 

※1 300万円÷6,300万円×100

 

贈与税の実質税率約4.8%と、生前贈与を行わない場合の相続税の実質税率約11%を比べると、贈与税の実質税率が低くなっています。

 

生前贈与を行わなければ、母の相続時に相続財産中約11%が相続税コストに費消されますが、生前贈与を行った場合、贈与税コストに費消されるのは贈与財産中約4.8%に過ぎません。

 

次に、生前贈与を行った結果、相続財産を6,300万円減少させることができました。

 

相続税は超過累進課税制度を採用しているため、相続財産を小さくすることができれば、実質税率も減少します。

 

生前贈与を行わず、相続財産が16,800万円である場合の相続税の実質税率は約11%でしたが、相続財産が10,500万円※2である場合の実質税率は約6.7%※3に減少します。

 

※2 16,800万円-6,300万円[生前贈与により移転が終わった資産]

※3 705万円÷10,500万円×100

 

すなわち、生前贈与を行わない場合は、相続財産16,800万円中、約11%が相続税コストに転化します。

 

生前贈与を行う場合、贈与財産6,300万円中、約4.8%が贈与税コストに、相続財産10,500万円中、約6.7%が相続税コストに転化するに過ぎません。

 

3) まとめ

 

このように、生前贈与を有効に活用するには、まず生前贈与を行わない場合の相続税の実質税率を算出します。

 

その上で、当該相続税の実質税率よりも低い税率での生前贈与を検討します。

 

もっとも、贈与者がまだ若ければ、相続発生時までの長い年月で資産の増減が生じますので、相続税の実質税率の算定は一つの目安に過ぎないことに留意する必要があります。

 

この場合は、贈与税の基礎控除の範囲内での生前贈与を検討する必要があります。

 

いずれにせよ、現行の資産税に関する高度な知識が必要であることはもちろん、今後の税制改正の動向にも留意する必要がありますので、税理士等の専門家に相談の上で対策を検討することをお勧めします。

 

【ご留意ください!】

 

本解説は、相続税対策における生前贈与の基本的な考え方を示すものです。具体的な生前贈与額の決定等については弁護士、税理士等の専門家にご相談いただくようお願いします。

 

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