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遺産分割における代償分割〈京都弁護士会弁護士による相続の法律相談〉

 

遺産分割における代償分割の活用について弁護士法人オールワン法律会計事務所(京都弁護士会)の弁護士(京都弁護士会)が解説します。

 

1 遺産分割の種類

 

遺産分割には次の4種類があります。

 

① 現物分割

 

個々の相続財産の形状・性質を変更することなく分割する方法。

 

原則的な遺産分割方法。

 

② 代償分割

 

法定相続分を超える相続財産を取得した相続人が、その取得した相続財産の額と法定相続分の 差額を、他の相続人に支払う方法(家事事件手続法第195条)。

 

③ 換価分割

 

相続財産を売却等により換価(換金)した後、その金銭を分配する方法(家事事件手続法第194条)。

 

➃ 共有分割

 

相続財産の一部又は全部を、相続分による共有取得とする方法。

 

2 代償分割が必要な場

 

1) 現物分割・換価分割の問題点

 

不動産の相続でも述べたとおり、現物分割・換価分割いずれの場合にも相続人が予期できない問題が生じる可能性があります。

 

不動産の相続

 

現物分割で生じうる問題点は、不動産等が相続財産で一定割合以上を占める場合には、相続人間で公平な分割を行うことが困難なことです。

 

 次に、換価分割の問題点は、相続人の思惑どおりに換価できるのか、そもそも被相続人が遺した資産を売却することに抵抗が生じないのか、というものでした。

 

他方、持分による共有分割では、問題の先送りに過ぎないことも既に述べたところです。

 

2)  代償分割のメリット

 

現物分割・換価分割の問題点は、相続時に不動産等の相続財産の形が変わってしまうことに伴うものでした。

 

そこで、不動産等の分割困難な財産については、発想を転換して、特定の相続人がそのままの形で相続することを考えてみます。

 

この場合問題となるのが、相続人間の相続分が不公平になることでした。

 

そこで、相続人間の公平については、別途代償金の支払いで解決しましょうと考えるのが代償分割です。

 

したがって、不動産等を相続する相続人が、他の相続人に代償金の支払いができれば、上で述べたような不動産相続に伴う様々な問題点を解決することができるのです。

 

3 生命保険の活用

 

1)  死亡生命保険金の帰属

 

被相続人が、契約者・保険者となり、特定の相続人を受取人として指定した死亡保険金は、被相続人に相続が発生すると、当該相続人(保険金受取人)の固有財産となります(最高裁第三小法廷判決昭和40年2月2日 参照)。

 

生命保険の保険料を被相続人である親が支払っている場合でも、受取人である特定の相続人が死亡保険金を受け取ると、当該死亡保険金は遺産分割の対象とはならないのです。

 

したがって、受取人が指定されている死亡保険金は、当該受取人の固有財産です。

 

因みに、これは死亡保険金の帰属に関するもので、死亡保険金に相続税が課税されるか否かは別の問題です。

 

死亡保険金から基礎控除(法定相続人×500万円、相続税法第12条)を超えると、「みなし相続財産」として、他の相続財産を合算して相続税が課税されます。

 

2) 生命保険の活用

 

死亡保険金が受取人の固有財産になるのであれば、当該死亡保険金の受取人は、受け取った保険金を代償金の支払いに充てることが可能です。

 

したがって、不動産を相続させたい子を死亡保険金の受取人とするなど、少し工夫することで代償分割の準備をすることができます。

 

もっとも、相続財産との比較において特定の相続人が受け取る保険金があまりに過大になる場合、当該保険金を特別受益に準じるものとみなされて持ち戻しの対象とされる可能性がありますので注意が必要です(最高裁第二小法廷決定平成16年10月29日 参照)。

 

4 代償分割と相続税

 

【代償金のを支払った者の課税財産】

 

=相続又は遺贈により取得した現物の財産の価額から交付した代償財産の価額を控除した金額

 

【代償金を受けとった者の課税財産】

 

=相続又は遺贈により取得した現物の財産の価額と交付を受けた代償財産の価額の合計額

 

なお、代償金の支払には課税されませんが、代償財産として相続人が固有財産である不動産を交付した場合、譲渡所得税が課税される場合があります。

 

【関連条文】

 

(遺産の換価を命ずる裁判)
家事事件手続法第194条
家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があると認めるときは、相続人に対し、遺産の全部又は一部を競売して換価することを命ずることができる。
2項
家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があり、かつ、相当と認めるときは、相続人の意見を聴き、相続人に対し、遺産の全部又は一部について任意に売却して換価することを命ずることができる。ただし、共同相続人中に競売によるべき旨の意思を表示した者があるときは、この限りでない。
3項
前2項の規定による裁判(以下この条において「換価を命ずる裁判」という。)が確定した後に、その換価を命ずる裁判の理由の消滅その他の事情の変更があるときは、家庭裁判所は、相続人の申立てにより又は職権で、これを取り消すことができる。
4項
換価を命ずる裁判は、第81条第1項において準用する第74条第1項に規定する者のほか、遺産の分割の審判事件の当事者に告知しなければならない。
5項
相続人は、換価を命ずる裁判に対し、即時抗告をすることができる。
6項
家庭裁判所は、換価を命ずる裁判をする場合において、第200条第1項の財産の管理者が選任されていないときは、これを選任しなければならない。
7項
家庭裁判所は、換価を命ずる裁判により換価を命じられた相続人に対し、遺産の中から、相当な報酬を与えることができる。
8項
第125条の規定及び民法第27条 から第29条 まで(同法第27条第2項 を除く。)の規定は、第6項の規定により選任した財産の管理者について準用する。この場合において、第125条第5項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「遺産」と読み替えるものとする。

 

(債務を負担させる方法による遺産の分割)
第195条
家庭裁判所は、遺産の分割の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、遺産の分割の方法として、共同相続人の一人又は数人に他の共同相続人に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。

 

【ご留意ください!】

 

本解説は、代償分割等の基本的な考え方を示すものです。具体的な代償分割の実行については弁護士、税理士等の専門家にご相談いただくようお願いします。

 

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