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相続放棄・限定承認〈京都弁護士会弁護士による相続の法律相談〉

 

相続放棄・限定承認手続について弁護士法人オールワン法律会計事務所(京都弁護士会)の弁護士(京都弁護士会)が解説します。

 

1 相続放棄

 

相続人は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所で相続放棄の手続きをとることができます(民法第915条)。

 

相続財産中、負債が資産を上回る場合、相続人は相続放棄をすることで、被相続人の負の遺産にかかる相続を回避することができます。

 

相続人が数人いる場合、相続人ごとに放棄をするか否かを決めることができます。

 

例えば、会社の社長であった父が遺した借金を、会社を継ぐ長男は単純に相続するが、会社を継がない次男は放棄するといったことも可能です。

 

このように、相続放棄の手続きは相続人ごとに行う必要がありますので、借金の相続を放棄する場合、全ての相続人が放棄の手続きを行う必要があります。

 

具体的には、被相続人に配偶者、子のみならず、被相続人の両親が健在、そして被相続人に兄弟姉妹がいる場合、配偶者と子だけではなく、両親、そして兄弟姉妹についても相続放棄の手続きを行う必要がありますので注意が必要です。

 

なお、特定の相続人を受取人として指定した生命保険金については、受取人として指定された相続人は相続放棄にかかわらず受け取ることができます。

 

但しこの場合は相続税法12条に規定する生命保険金控除(法定相続人の人数×500万円)の適用を受けることはできません。

 

2 限定承認

 

相続人は、相続債務を一旦すべて相続した上で、債務の引き当てとして相続財産を限度とすることもでき、この手続きを限定承認といいます。

 

被相続人が事業を行っていた時など、相続人が、相続時に被相続人の借金を全て把握できない場合等には限定承認は有効です。

 

例えば、会社の社長であった父が亡くなり、積極財産が1億円であることは判明したが、借金の総額の不明な場合、相続人である長男と次男は限定承認の手続きをとることができます。

 

この場合、後に父の借金が5,000万円と判明すれば、長男と次男は、積極財産1億円中、5,000万円を借金の支払いにあて、差額の5,000万円を相続することができます。

 

他方、父の借金が2億円であることが判明した場合も、長男と次男は、積極財産1億円の限度で借金の弁済をすればよく、自らの固有財産を持ち出して父の借金を弁済する必要はありません。

 

限定承認手続きは、相続放棄手続きと異なり、相続人全員が行う必要があり、一部の相続人のみで限定承認手続きを行うことはできません。

 

なお、特定の相続人を受取人として指定した生命保険金については、受取人として指定された相続人は限定承認手続きにかかわらず受け取ることができます。

 

限定承認手続きにおいては相続税法12条の適用があります。

 

【関連条文】

 

(相続の承認又は放棄をすべき期間)

第915条

相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

2項

相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

 

第917条

相続人が未成年者又は成年被後見人であるときは、第915条第1項の期間は、その法定代理人が未成年者又は成年被後見人のために相続の開始があったことを知った時から起算する。

 

(相続財産の管理)

第918条

相続人は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産を管理しなければならない。ただし、相続の承認又は放棄をしたときは、この限りでない。

 

(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)

第919条

相続の承認及び放棄は、第915条第1項の期間内でも、撤回することができない。

 

(単純承認の効力)

第920条

相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。

 

(法定単純承認)

第921条

次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。

一  相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。

二  相続人が第915条第1項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。

三  相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。

 

(限定承認)

第922条

相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる。

 

(共同相続人の限定承認)

第923条

相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。

 

(限定承認の方式)

第924条

相続人は、限定承認をしようとするときは、第915条第1項の期間内に、相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述しなければならない。

 

(限定承認をしたときの権利義務)

第925条

相続人が限定承認をしたときは、その被相続人に対して有した権利義務は、消滅しなかったものとみなす。

 

(相続の放棄の方式)

第938条

相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。

 

(相続の放棄の効力)

第939条

相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

 

【ご留意ください!】

 

本解説は、基本的な考え方を示すものです。具体的な相続放棄・限定承認の手続きについては、家庭裁判所若しくは弁護士等の専門家にご相談いただくようお願いします。

 

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