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遺産分割の対象となる相続財産〈京都弁護士会弁護士による相続の法律相談〉

 

相続発生時に遺産分割の対象となる相続財産の範囲について弁護士法人オールワン法律会計事務所(京都弁護士会)の弁護士(京都弁護士会)が解説します。

 

民法第896条は、『相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。』と規定しています。

 

同条文によれば、被相続人(亡くなった人を民法上こう呼びます)に一身専属的に帰属している財産以外は、原則として全て相続人による遺産分割の対象となる相続財産です。

 

しかし、その財産の性質から遺産分割の対象とならないものがあります。

 

1 預貯金

 

1)預貯金が遺産分割の対象となるか

 

被相続人名義の預貯金は相続財産です。

 

しかし、預貯金はその性質上分割が容易な金銭債権であることから、遺産分割の対象になりません。

 

預貯金は、相続財産ですが遺産分割の対象になりません。

 

判例によれば預貯金は「相続人数人ある場合において、相続財産中に金銭その他の可分債権あるときは、その債権は法律上当然分割され、各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継する」と判示しています(最判昭和29年4月8日)。

 

被相続人である親が100万円の銀行預金を残して亡くなり、相続人が子2人の場合、銀行預金は各相続人が当然に50万円ずつ相続します。

 

2)銀行実務による預貯金の取扱

 

もっとも、上記事例で、相続人の1人が銀行に出向き、自らの相続分50万円の預金につき払戻や名義書換を銀行に請求した場合、銀行は原則として払戻、名義書換いずれにも応じません。

 

銀行実務では、遺言(公正証書遺言以外は検認証書が契印された遺言)、印鑑登録証明が添付され当該印鑑が押印された遺産分割協議書共同相続人全員の承諾書等がない限り、共同相続人中の1人からの法定相続分に応じた預金の払戻、名義書換いずれにも拒絶する取り扱いとなっています。

 

これは、個々の相続人からの払戻、名義書換に銀行が応じると、銀行が相続人間のトラブルに巻き込まれてしまう可能性があるためです。

 

例えば、銀行が相続人Aに50万円を払い戻した後、相続人Bが銀行にやって来て次のように言ったとします。

 

「私とAが遺産分割協議をして銀行預金は全額私が相続することになったから100万円全額を私に払い戻して」

 

こうした事態を避けるため、銀行では預金を誰が相続するのか、遺言や遺産分割協議書で確認してから払戻、名義書換に応じる取り扱いとなっています。

 

したがって、各相続人が銀行に対して法定相続分の預金の払戻を請求するには、訴訟等を提起する必要があります。

 

3)相続人全員の合意がある場合

 

相続人全員の合意があれば、被相続人名義の預貯金を遺産分割協議の対象とすることができます。

 

2 不動産利用権

 

1)不動産賃借権

 

被相続人が有していた不動産賃借権(賃料の支払いを対価として不動産を利用する権利)は、相続財産にあたり、かつ遺産分割の対象となります。

 

2)不動産使用貸借権

 

被相続人が有していた使用貸借権(対価性のない不動産の利用権)は、借主であった被相続人の死亡により使用貸借権自体が消滅します(民法第599条)。

 

したがって、相続の対象となりません。

 

3 生命保険

 

生命保険の契約形態により異なります。

 

1)〈契約者〉〈被保険者〉被相続人 〈受取人〉相続人

 

保険金受取人が特定の相続人と指定されている場合、当該保険金は、相続人の固有財産となります。

 

したがって、遺産分割の対象とはなりません。

 

もっとも、この場合当該相続人が受け取る保険金は、「みなし相続財産」として一定の場合は相続税の課税対象となります。

 

2)〈契約者〉被相続人 〈被保険者〉被相続人以外の者

 

相続が発生しても保険契約は存続します(被保険者が生存しているため)。

 

この場合は保険契約自体が相続財産となります。

 

相続税の計算では、解約返戻金相当額が課税の対象となります。

 

4 ゴルフ会員権

 

契約形態ごとに異なります。

 

1) 預託会員制

 

ゴルフ会員権の最も多い契約形態です。

 

預託会員制の場合は、一般にその財産権の内容を、➀ゴルフクラブの会員たる資格(被相続人と同様のゴルフクラブ会員としてプレーできるか)と、➁「会員権者たる地位」(理事会の承認を条件として会員となることの地位)を分けて考えます。

 

そして、➀ゴルフクラブの会員たる地位については、被相続人の一身専属的な権利として相続の対象にならないと考えられています。

 

➁会員権者たる地位については、当該クラブの会則等で会員権者たる地位の相続による承継が認められていれば相続財産となり、認められていなければ相続の対象となりません。

 

会則の規定により判断することになります。

 

2) 社団会員制

 

預託会員制と比べて会員相互間の関係が密接であるため、会員資格の譲渡性が乏しく、原則として相続の対象とならないと考えられています。

 

3) 株主会員制

 

株式に自由譲渡性が認められていることから、原則として相続の対象となります

 

5 損害賠償請求権

 

1) 財産的損害に対する損害賠償請求権

 

相続の対象となります。

 

2) 精神的損害に対する慰謝料請求権(慰謝料)

 

相続の対象となります。

 

6 被相続人の債務

 

被相続人の債務は相続されますが、遺産分割の対象とはなりません。

 

相続人の法定相続分に応じて当然に分割して承継されることになります。

 

相続人間で法定相続分と異なる債務負担の取り決めをした場合も、当該取り決めは相続人間では有効ですが、被相続人の債権者に対抗することはできません。

 

【ご留意ください!】

 

本解説は、基本的な考え方を示すものです。詳細については弁護士、税理士等の専門家にご確認いただくようお願いします。

 

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