相続

TOP > 個人のお客様 > 相続 > 相続の基本知識> 遺産分割協議長期化の不利益〈京都弁護士会弁護士・税理士による相続税の法律相談〉

遺産分割協議長期化の不利益〈京都弁護士会弁護士・税理士による相続税の法律相談〉

 

相続発生後に遺産分割協議が長期化した場合の不利益について弁護士法人オールワン法律会計事務所(京都弁護士会)の弁護士(京都弁護士会)税理士(近畿税理士会下京支部)が解説します。

 

1 遺産分割協議のタイムリミット

 

遺言がない場合の遺産分割は、法定相続分を基準として、相続人間の協議により行うことになります。

 

この遺産分割協議には法律上のタイムリミットはありませんので、事実上は何時までも遺産分割協議を続けることができます。

 

もっとも、遺産分割協議が終了するまで、被相続人名義の預貯金の払戻・名義書換等はできません

 

2 相続税納税義務者の遺産分割協議

 

被相続人が遺した相続財産が相続税の基礎控除を超え、相続税の課税義務者となる相続人の場合、遺産分割協議に事実上のタイムリミットが課せられます。

 

相続税は、相続人が個々に相続する財産に応じて申告・納税します。

 

相続税納税義務者については、原則として相続税の申告納税期限の10か月までに遺産分割協議の結論を出し、個々の相続人が相続する相続財産を確定する必要があります。

 

仮に相続税の申告が相続税の納期限である10カ月で行えない場合は次の制度が利用できない可能性があります。

 

配偶者の相続税額軽減措置(相続税法第19条の2第1項)

小規模宅地等の課税価格計算の特例(租税特別措置法第69条の4)

非上場株式にかかる相続税の納税猶予制度(同70条の7の2)

延納(相続税法第38条以下)

物納(同第42条以下)

 

3 3年10か月以内の遺産分割協議

 

遺産分割が未了の場合も相続税の申告・納税期限は原則相続開始後10か月です。

 

遺産分割が未了の場合は、相続発生後10か月の段階で各相続人が民法の法定相続割合(又は包括遺贈の割合)で相続したものとして相続税を計算し申告・納税する必要があります(相続税法第55条)。

 

この場合、相続税の納期限から更に3年以内(相続開始後3年10か月以内)に遺産分割協議が成立すれば、配偶者の相続税額軽減措置及び小規模宅地等の課税価格計算の特例を受けることができます。

 

とすれば、相続税の納期限10か月の時点で遺産分割協議が未了の場合も、各相続人が法定相続分についての申告・納税を行えば、遺産分割協議自体は相続開始後3年10か月以内に結論を出せば足りることになります。

 

しかし、相続税の納税資金として被相続人名義の預貯金を利用できないため(遺産分割未了のため)、相続人が相続税の納税資金を準備する必要があります。

 

【関連条文】

 

(配偶者に対する相続税額の軽減)
相続税法第19条の2

被相続人の配偶者が当該被相続人からの相続又は遺贈により財産を取得した場合には、当該配偶者については、第1号に掲げる金額から第2号に掲げる金額を控除した残額があるときは、当該残額をもつてその納付すべき相続税額とし、第1号に掲げる金額が第二号に掲げる金額以下であるときは、その納付すべき相続税額は、ないものとする。

①   当該配偶者につき第15条から第17条まで及び前条の規定により算出した金額

②   当該相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の総額に、次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額が当該相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格の合計額のうちに占める割合を乗じて算出した金額

イ 当該相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格の合計額に民法第900条 (法定相続分)の規定による当該配偶者の相続分を乗じて算出した金額(当該被相続人の相続人(相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人)が当該配偶者のみである場合には、当該合計額)に相当する金額(当該金額が1億6,000万円に満たない場合には、1億6,000万円)
ロ 当該相続又は遺贈により財産を取得した配偶者に係る相続税の課税価格に相当する金額
2項
前項の相続又は遺贈に係る第27条の規定による申告書の提出期限までに、当該相続又は遺贈により取得した財産の全部又は一部が共同相続人又は包括受遺者によつてまだ分割されていない場合における前項の規定の適用については、その分割されていない財産は、同項第二号ロの課税価格の計算の基礎とされる財産に含まれないものとする。ただし、その分割されていない財産が申告期限から3年以内)に分割された場合には、その分割された財産については、この限りでない。
3項
第1項の規定は、第27条の規定による申告書又は国税通則法第23条第3項 (更正の請求)に規定する更正請求書に、第1項の規定の適用を受ける旨及び同項各号に掲げる金額の計算に関する明細の記載をした書類その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。
4項
税務署長は、前項の財務省令で定める書類の添付がない同項の申告書又は更正請求書の提出があつた場合においても、その添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、当該書類の提出があつた場合に限り、第1項の規定を適用することができる。
5項
第1項の相続又は遺贈により財産を取得した者が、隠蔽仮装行為に基づき、第27条の規定による申告書を提出しており、又はこれを提出していなかつた場合において、当該相続又は遺贈に係る相続税についての調査があつたことにより当該相続税について更正又は決定があるべきことを予知して期限後申告書又は修正申告書を提出するときは、当該期限後申告書又は修正申告書に係る相続税額に係る同項の規定の適用については、同項第2号中「相続税の総額」とあるのは「相続税の総額で当該相続に係る被相続人の配偶者が行つた第6項に規定する隠蔽仮装行為による事実に基づく金額に相当する金額を当該財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格に含まないものとして計算したもの」と、「課税価格の合計額のうち」とあるのは「課税価格の合計額から当該相当する金額を控除した残額のうち」と、同号イ中「課税価格の合計額」とあるのは「課税価格の合計額から第六項に規定する隠蔽仮装行為による事実に基づく金額に相当する金額を控除した残額」と、同号ロ中「課税価格」とあるのは「課税価格から第6項に規定する隠蔽仮装行為による事実に基づく金額に相当する金額を控除した残額」とする。
6項
前項の「隠蔽仮装行為」とは、相続又は遺贈により財産を取得した者が行う行為で当該財産を取得した者に係る相続税の課税価格の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装することをいう。

 

【ご留意ください!】

 

本解説は、相続税に関する基本的事項を述べたものです。具体的な相続税に関するご相談は弁護士、税理士等の専門家にお願いします。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

京都・滋賀・大阪での相続に関する法律相談は京都・四条烏丸の弁護士法人オールワン法律会計事務所の弁護士(京都弁護士会)・税理士(近畿税理士会下京支部)にお任せ下さい。

よくあるご質問

ページ上部へ